ゲリラ豪雨も予測可能?天気予報の新たなカタチ

(トップ画像:typhoon “Haiyan”  credit: NASA)

別ブログ『視覚をカガクする』では,太陽などの光源からの光,つまり可視光によってモノを視るということが取り上げられました.こちらでは可視光ではなく『電波によってモノを視る』という事に焦点を当ててみます.

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これまで取り上げられてきた可視光に加えて,波長が短い放射線,そして波長の長い電波までをあわせて「電磁波」と呼びます.とくに電波はメディアの放送や携帯電話など今や生活に欠かせない存在になってきています.

電磁波_放射線研

放射線影響研究所サイトより (#1)

”電波で視る”といわれてもピンとこないかもしれませんが,電波を使うことで可視光では直接見えないものを人間が見られるようになり大いに役立っています.

関連して「フェーズドアレイ気象レーダー」というモノをご紹介します.

 


そもそも「レーダー」って何?


従来から雨雲を観測するには「気象レーダー」が用いられてきました.

雨雲レーダー画像

出典:気象庁ホームページ 「レーダーデータの見方の例」

 

「レーダー」はradio detecting and rangingの略語で,電波を使って物体との距離を知る装置を指します.電波を飛ばして,それが何かにぶつかった時の「反射」や「散乱」を利用しています.

可視光のように電波にも長さによってさまざまな区分けがあり,例えば波長が長いほど大気中の水分などに吸収される量が減るというような特徴があります.電波を使い分ければ遠くのものや雨粒のような小さなものまで”視る”ことができます.

ちなみに,気象庁のレーダーの場合,1基で半径数百kmくらいカバーできるようです.

 


気象レーダーの実際


気象観測で使うレーダーについて,もう少し掘り下げてみましょう.

気象レーダーには「パラボラアンテナ」が用いられています.家庭用BSアンテナにも使われるお椀型のアンテナです.パラボラを使うことでアンテナから直線的に波を出すことができます(数学の「放物線」が役立っています).逆に受信時は直線的に入ってくる波を集めることができるため,1個1個の反射電波は弱くとも反射波を捉えることができます.

気象レーダで主に使われるのは,およそ5 GHzの「マイクロ波」という波です.電子レンジでお馴染みのマイクロ波ですが,直進性が大きく,空気中で減衰しにくい特徴があって,雨粒などを見るにも適しています.

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「可搬型ドップラーレーダー」(気象研究所ホームページより)

ところで,自分の頭の上を見たいとき,どうしていますか?

例えばブ―ンと蜂の飛ぶ音がして来たときなどです.

人間の視野角は限られていますので,そんな時には首をひねったり顔をあげたりして目の向きを変えるはずです.

気象レーダーの場合も同じように,アンテナが電波を発信できる方向と角度が決まっています.そのためアンテナの向きを上下に変えることで全体を見ています.気象レーダーの場合だと3次元構造を測るのに5分以上時間かかります.

 

5分~10分という時間は,ある問題につながります.

さて,それは何でしょうか?

ヒントは「夏」です.夏の風物詩といえば...?

 

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